「税務調査の前に申告を見直したら、間違いが見つかった」「税務調査の連絡を受けて、過去の申告が急に心配になった」という方もいると思います。
私は、明らかな誤りに気づいたのであれば、調査で指摘されるまで待たずに修正を検討したほうがよいと考えています。加算税が軽減されることがあったり、調査が早期決着することが多いためです。
| 気になること | 結論 |
|---|---|
| 調査前に修正すべき? | 大きなミスや意図的な除外は修正したほうがよい |
| 加算税はなくなる? | 調査通知や、更正を予知したかどうかで扱いが変わる |
| 税務調査はなくなる? | なくならない |
| 調査は早く終わる? | 経験上、論点の整理が進み、早く終わることもある |
申告の誤りに気づいたら、税務調査を待たずに修正
売上の計上漏れや、私的な支出を経費に入れていたことなどがわかった場合、自主的な修正申告を検討しましょう。
修正申告=申告期限を過ぎた後、すでに提出した申告の税額が少なかった場合などに、正しい内容へ直す手続。
税務調査の連絡が来ている、来ていないにかかわらず提出できます。
※逆に、税金を多く申告していた場合は「更正の請求」、もともと申告していなければ「期限後申告」
自分から修正申告をしたら、ヤブヘビで税務調査が来るのでは?と思われるかもしれませんが、経験上そういった心配はしなくてもよいでしょう。
逆に言うと、修正申告をしたからといって、調査がなくなるわけでもありません。
税務調査前の修正申告は、タイミングで加算税が変わる
税務調査前に修正申告をすると、加算税(罰金)が軽減されることがあります。
「訪問前」と「調査通知前」
過少申告加算税(税金を少なく申告していたことに対するペナルティ)の基本的な扱いは、次のとおりです。
①調査の連絡が来る前 ②連絡はきたが調査実施前 ③調査実施後 に分けられます。
| 修正申告のタイミング | 原則 | 一定額を超える部分 |
|---|---|---|
| 調査通知前で、更正を予知しない自主的な修正 | かからない | かからない |
| 調査通知後で、更正を予知する前の修正 | 5% | 10% |
| 調査による更正を予知した後の修正 | 10% | 15% |
更正とは、税務署が税額などを変更する処分です。「更正を予知した」とは、調査を受けたことにより更正を受けると見込んでいたということです。
調査の連絡が来た段階で提出した修正申告は、原則として更正を予知したものには当たらないとされていますから、原則5%のペナルティで済みます。一方、調査の連絡が来る前の修正申告であればペナルティなし。
調査で実際に指摘されてからの修正だと10%ということですね。
はやめはやめの修正であればあるほどペナルティが少ないということです。
重加算税について
売上を隠したり、架空の経費を作ったりする隠蔽・仮装があると、重加算税が問題になります。重加算税は35-40%の重いペナルティです。
税理士としては重加算税をが課されるリスクがあるか、それを回避できるかどうかを調査前に考えたりします。
こちらについても、調査による更正を予知せずに自発的に修正申告をした部分についてには、重加算税が課されない扱いがあります。
ですからこうした悪質な行為をしてしまった自覚がある場合にこそ、事前の自主的な修正申告は有効です。
バレなければいいじゃん、と思われるかもしれませんが、税務調査官からすると重加算税は喉から手が出るほどほしいもの。売上除外や架空の取引がないかは最も目を光らせるポイントです。
仮想隠蔽の手口について彼らは徹底的に勉強していますから、バレるものだと思っておいてください。
事前の修正申告が税務調査に与える影響
論点が整理され、調査が早く終わることもある
私の経験上、事前に修正申告をしておくと、調査が早く終わることもあります。
理由はいろいろ考えられますが、調査前の時点で、問題のある処理が整理されていることが大きいでしょう。修正する項目・対象年分・金額がはっきりしていれば、調査の場で一から確認し、修正内容を詰める負担を減らせます。
修正した部分の資料もそろえておけば、調査官はその内容を確認したうえで、残った論点を中心に調べやすくなります。
調査官側の実績という面もあります。元国税調査官の方のブログで、事前通知後・実地調査前に提出し、過少申告加算税が課される修正申告も、調査官の評価対象になると読んだことがあります。
事前の修正で一定の増差所得(修正申告で増えた所得)が出ていることも、調査が早期決着する理由の一つだと私は考えています。
慌てて修正する前に確認したいこと
明らかな誤りと、説明すべき論点を分ける
「心配な経費は全部取り下げよう」と考える必要はありません。
例えば、仕事と関係のない家族との飲食費を経費にしていた場合と、自宅家賃の経費割合がちょっと大きいかも?という場合。前者は私的な支出として修正すべきですが、後者は事実認定や解釈によって結論が変わりえます。
誤りがはっきりしている部分は直す。一方、事実関係や税務上の判断に検討が必要な部分は、根拠を確認する。この分け方が大切です。
私が対応した調査でも、修正する部分と説明する部分を整理
私が直近で対応した個人事業主の税務調査(スポット)でも、交際費・旅費・光熱費など、修正した項目がありました。一方で、自宅兼事務所の経費の按分や、副業の所得区分については、こちらの説明が認められた部分もありますし、事前の修正申告をしたこともあってか重加算税は回避できています。
自身の申告を見直し、気になる処理があれば、資料と一緒に税理士に相談してみてくださいね。
