税務調査が来る確率は?対象になりやすい人・会社の特徴

「税務調査って、どのくらいの確率で来るんですか?」「個人事業主にはそうそう来ないって聞いたんですが…」
事業をしていると、気になるところですよね。

ただ正直に言うと、私は税務調査の確率を気にしすぎても、あまり意味がないと思っています。税務署は調査対象をランダムで選ぶのではなく、申告内容や手元の資料から、確認する必要があるところを選んでいるからです。

私の実感としても、小規模な個人事業主で、帳簿や申告内容がきちんと整っている場合、そうそう調査が来るものではありません。一方、「ウチみたいな小さいところには来ないだろう」と考えて、適当に申告している場合には来てしまうのです。

もちろん、正確に申告していても調査を受ける可能性はありますが…
大切なのは、来る確率を考えるより、来ても大丈夫な状態にしておくことです。

気になること結論
税務調査が来る確率個人1%,法人3%と言われるが…あまり意味はない
対象になりやすい人・会社申告漏れや不整合が疑われるところ、重点的に確認される分野など
小規模なら来ない?規模だけでは決まらない。申告内容が重要
一番大切な対策適正な申告をすること
目次

税務調査が来る確率は?全体の数字だけでは判断できない

国税庁の公表値を見ると、実地調査件数は個人約0.2%、法人約1.7%です。

参考:令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況

税務署は、申告内容や資料から調査の必要性を判断

税務署は、申告書や決算書を見て数字に違和感がないかをチェックします。
他にも取引先から提出された資料や過去の調査結果なども確認します。

国税庁の法人税の調査報告では、AIを使った予測モデルで申告情報などを分析し、調査の必要性が高い法人を抽出する取組も紹介されています。最終的には、調査官が資料などを踏まえて判断する仕組みです。

つまり、くじ引きのように全員を同じ確率で選んでいるわけではありません。申告漏れや不自然な点が疑われるところに調査に行くわけです。

国税庁の報告からわかる重点分野と業種別の調査結果

国税庁は毎年、所得税や法人税などの調査実績を公表しています。直近の報告から、どのような分野に力を入れているかを見てみましょう。

無申告・ネット取引・富裕層・還付申告などが重点分野

個人の所得税・消費税の報告では、次のような分野への取組が紹介されています。

  • 申告が必要なのに申告していない無申告者
  • ネット通販、アフィリエイト、コンテンツ配信などのインターネット取引
  • 暗号資産の取引
  • 富裕層、特に海外投資や海外資産に関係する申告
  • 消費税や所得税の還付申告

法人税等の報告でも、消費税の還付申告法人、海外取引法人、無申告法人への対応が取り上げられています。

たとえば、海外で得た所得を申告する必要があるのに漏れているケースや、不正に還付を受けようとするケースなどです。

ネット関係の取引は安易に考えてしまい申告をしない方が多いような印象があります。
また、無申告の方は業種に限らず調査対象になりやすいようです。

調査1件当たりの申告漏れ所得ランキング

所得税の報告には、調査1件当たりの申告漏れ所得金額が高い業種のランキングもあります。令和6事務年度の上位5業種は、次のとおりです。

順位業種1件当たりの申告漏れ所得金額
1キャバクラ4,164万円
2眼科医3,894万円
3ホステス、ホスト2,968万円
4経営コンサルタント2,734万円
5太陽光発電2,142万円

キャバクラやホスト、経営コンサルタントは、毎回上位にいる印象があります。

不正が見つかった割合

法人税の報告にある「不正発見割合の高い業種」の上位5業種は、次のとおりです。

順位業種不正発見割合
1バー・クラブ62.3%
2その他の飲食45.2%
3外国料理40.2%
4美容34.5%
5大衆酒場、小料理34.4%

飲食店などのいわゆる現金商売が多いですね。

税務調査の対象になりやすい申告内容

私がスポットで税務調査対応をした方々の申告内容は、ある程度共通点があったように思います。

売上・利益・経費の動きがおかしい

  • 売上は大きく増えているのに、利益はほとんど出ていない
  • 毎年の所得が極端に少ない、それで生活できる?
  • その業種でそんなに○○費かかる?

たとえば、毎年の所得が100万円程度で、ほぼ毎年同じ数字の申告内容。
ひとりで仕事をしているエンジニアなのに、交際費が300万、旅費が200万。

私でも違和感を覚えるのですから、税務署はなおさらでしょう。

もちろん違和感がなくても規模感が大きくなったり、毎年成長をしている事業であれば、調査対象となりやすくなります(事業が順調な法人の場合など)。ただし、個人事業主レベルであれば、まずは先述したような部分で調査対象に選ばれていると思われます。

取引先の資料と、申告内容につじつまが合わない

仕事内容によっては、取引先から税務署に報酬などの支払調書が提出されます。取引先側の資料と、ご自身の申告内容に大きな食い違いがあれば、確認のきっかけになり得ます。

※集計の時期や範囲が異なる場合もあるため、数字が違うだけでアウトではありません

過去の調査で、不正や大きな誤りが見つかっている

過去の調査結果も、調査の必要性を判断する材料になります。売上を隠したり、架空の経費を計上したりしていた場合、その後も正しく申告しているかを確認される可能性は高くなります。

たとえば過去に重加算税(仮想隠蔽をしたことによる重いペナルティ)を取られているような場合ですね。
重加算税=その後3年周期、のようなルールがあるわけではないでしょうが、高確率となる印象です。

なので私は調査の相談を受けた際は、まず重加算税となる可能性はあるか、それを回避できそうかを検討します。

小規模・赤字・税理士ありでも税務調査は来る

個人事業主にも、小さな会社にも税務調査は来ます。

SNSを見ていると「売上1,000万もないような個人事業主のところに来るほど税務署は暇じゃない」「個人事業主なら経費に入れてもバレない」のような発信がありますが…うのみにしないように。
私は毎年売上1,000万円未満の個人事業主の方から調査対応依頼を受けたことが何度もあります。

赤字だからこないというわけでもないでしょうね。
上述したとおり、経費の割合に違和感があればくるでしょう。

また、青色申告だから来ない、税理士がついているから来ない、というものでもありません。(確率はかなり少なくなると思われます。勤め時代から含めると、個人事業主の顧問先様に税務調査が来たのは1回しか経験ありません)

税務調査が長年来ないこともある

「3年に一度」「5年に一度」という話もありますが、これも気にしなくてよいでしょう。定期的に調査を受ける会社もあれば、長年来ない会社もあります。

私が勤務していた頃には、売上が1億円前後で、設立以来約30年間税務調査が来ていなかった会社もありました。

大切なのは、税務調査が来ても大丈夫にすること

私が一番お伝えしたいのは、「調査に入られない方法」「来る確率」を考えるより、来ても大丈夫な状態にしておこう、ということです。

売上を漏れなく計上する。生活費を経費に混ぜない。架空の取引を載せない。在庫がある業種なら、棚卸の記録を残す。まずは、このような基本を押さえましょう。

私が直近で対応した個人事業主の税務調査(スポット)でも、経費の按分割合や、副業の所得区分が論点になりました。事前に根拠を準備していたため、こちらの説明が認められた部分も多かったです。

日頃から資料と処理の根拠を残しておくことは、誤りを見つけるためにも、ご自身の申告を説明するためにも役立ちます。

日頃の備え確認すること
売上計上漏れがないか、請求書や入金記録と照合できるか
経費仕事との関係や家事按分の割合を説明できるか
在庫・帳簿・資料数字の根拠が残っており、取引をたどれるか

売上を抜いたり、架空の経費を入れたりすれば、後から本来の税金に加えて、加算税や延滞税などの負担が生じることがあります。調査への対応にも時間と費用がかかります。

間違いに気づいたら、放置せず確認しましょう。修正申告が必要かなど、判断に迷う場合は税理士に相談するのがよいと思います。

税務調査の確率が何%かより、ご自身の申告内容がどうなっているか。私は、こちらのほうがずっと大切だと考えています。税務署を必要以上に怖がる必要はありませんが、「どうせ来ない」と考えて適当に申告するのも避けたいところです。

まずは売上や経費の処理を、一度見直してみてくださいね。

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この記事を書いた人

千葉県柏市の入野拓実税理士事務所。税務顧問、スポット相談、相続税申告に対応。税金計算だけでなく、会社と個人にお金を残し、数字を経営判断に役立てるサポートを行っています。

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