【完全版】法人成りに必要な手続き・書類・届出をまとめたやることリスト

【完全版】法人成りの手続き・届出・必要書類まとめ|やることリストと期限一覧

法人成りの手続きは、とにかく数が多いです。
税務署、都道府県、市区町村、年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク、銀行。
提出先がバラバラで、期限もバラバラです。

しかも、

  • 個人事業をたたむ手続き
  • 新しい会社を立ち上げる手続き

が同時に走ります。

私自身、自分の会社を作ったときに「これどうするんだ?」と何度も手が止まりました。
この記事では、法人成りでやることを次の4段階に整理します。

STEPやること時期の目安
STEP1会社を設立する法人成り前
STEP2会社設立後の届出をする設立後すぐ。期限は5日~2か月など
STEP3個人事業の廃業手続きをする法人成り後すぐ。届出ごとに期限が異なる
STEP4個人事業主として最後の確定申告をする原則として翌年の確定申告期限まで

「そもそも今、法人成りしたほうがいいのか?」という段階の方は、会社を作る前に税金・社会保険料まで含めてシミュレーションしておくことをおすすめします。

目次

大前提:期限ギリギリではなく「設立後すぐ、まとめて」やる

法人成りに関する届出は、5日以内、10日以内、1か月以内、2か月以内など、期限がバラバラです。
特に社会保険には5日以内という短い期限があります。

一方、法人の青色申告の承認申請書のように、期限を逃した場合の税務上の影響が大きいものもあります。

ですので、

「期限が来たものから一つずつ」ではなく、設立登記が終わったら必要な届出をまとめて進める

のがおすすめです。

STEP1:会社を設立する

まず決めておくこと

自分で設立する場合でも、司法書士さんに依頼する場合でも、まずは会社の基本事項を決めます。

項目主な検討内容
会社名商号を決める
本店所在地自宅・事務所など、会社の本店をどこに置くか
会社形態株式会社にするか、合同会社にするか
事業目的会社で行う事業を定款・登記に記載する
資本金税務・信用・資金繰りなども考えて決める
出資者・役員株主・社員・取締役などを決める
決算月繁忙期や資金繰り、消費税なども考えて決める

自分で設立するか、司法書士さんに頼むか

会社設立は自分で行うこともできます。
ただ、何も使わずに定款や登記申請書を一から作るのは、なかなか大変です。

自分でやるなら、「弥生のかんたん会社設立」のような会社設立サービスを利用すると進めやすいでしょう。

私自身、会社を設立したときも、このようなサービスを利用しました。

一方、本業に集中したい方は司法書士さんに任せてしまうのも十分アリです。
報酬は依頼内容によりますが、数万円~10万円程度など幅があります。

設立時に準備するもの

設立方法によって必要なものは異なりますが、

  • 会社の印鑑
  • 代表者個人の印鑑証明書
  • マイナンバーカード等の電子証明書

などを準備します。

現在はオンライン登記も利用でき、申請方法によっては印鑑証明書などを省略できるケースもあります。

登記完了後は、登記事項証明書などを用意する

登記が終わると、銀行口座や社会保険などの手続きを進められるようになります。
登記事項証明書や印鑑証明書は、必要な提出先を確認したうえで予備を含め数通取っておくと便利です。

STEP2:会社設立後の手続き

まず全体像

会社設立後の主な手続きは次のとおりです。

提出先・手続先主な手続き期限の目安
税務署法人設立届・青色申告・給与関係1~2か月以内など
都道府県・市区町村法人設立の届出自治体による
年金事務所健康保険・厚生年金原則5日以内
労働基準監督署労働保険従業員を雇った場合
ハローワーク雇用保険対象従業員がいる場合
銀行法人口座開設できるだけ早め

税務署に提出する書類

一般的な小規模法人では、まず次の書類を確認します。

書類期限ポイント
法人設立届出書設立から2か月以内添付は原則として定款等の写し。登記事項証明書は不要
青色申告の承認申請書設立後3か月経過日と最初の事業年度終了日の早い方の前日後回しにしない
給与支払事務所等の開設届出書開設から1か月以内役員報酬・給与を支払う場合
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書任意給与支給人員が常時10人未満なら、源泉所得税の納付を原則年2回にできる

この中でも特に注意したいのが、青色申告の承認申請書です。

「設立から3か月」とだけ覚えていると危険です。
設立してすぐに最初の決算日を迎える会社では、それより早く期限が来ます。

基本的には、設立したらすぐ提出してしまうのがおすすめです。

地方自治体にも設立届を出す

税務署だけでなく、都道府県と市区町村にも届出が必要です。
例えば私の住む千葉県柏市で設立した場合、千葉県の県税事務所と、柏市役所に提出します。

提出先書類期限主な添付
千葉県法人等の設立等報告書設立から1か月以内定款等・登記事項証明書など
柏市法人の設立・設置に関する申告書設立から30日以内定款等・登記事項証明書など

地方税の届出名・期限・添付書類は自治体によって違います。
本店所在地の都道府県・市区町村のホームページで確認してください。

なお、東京23区の場合は法人住民税等について都税事務所へのみ届出を行います。

社会保険:年金事務所に提出するもの

法人事業所は原則として健康保険・厚生年金の強制適用事業所です。

社長ひとりでも、役員報酬を受けて働く通常のケースでは加入が必要です。

書類期限対象
健康保険・厚生年金保険 新規適用届原則5日以内会社
被保険者資格取得届原則5日以内社長・加入対象従業員
被扶養者(異動)届該当時扶養家族がいる場合

新規適用届では、原則として、

  • 登記事項証明書の原本
  • 法人番号指定通知書等のコピー

などを用意します。

法人番号指定通知書がまだない場合は、国税庁の法人番号公表サイトの法人情報を印刷して利用できる場合があります。

社会保険料を口座振替にする場合は、その手続きもまとめて進めておくとラクです。

従業員を雇う場合:労働保険・雇用保険

従業員を雇う場合は、社会保険とは別に労働保険・雇用保険の手続きも必要になります。

提出先書類期限
労働基準監督署労働保険 保険関係成立届保険関係成立から原則10日以内
労働基準監督署等労働保険 概算保険料申告書保険関係成立から原則50日以内
ハローワーク雇用保険適用事業所設置届原則10日以内
ハローワーク雇用保険被保険者資格取得届原則として翌月10日まで

現在はe-Govから電子申請もできます。

ただ、初めてでよくわからない場合は、窓口で確認しながら進めるのもいいと思います。

消費税・インボイスは設立前から検討する

ここは全員が必要な手続きではありません。

ただし、判断を間違えると後から修正できないことがあるので注意してください。

こんな場合検討すること
法人でもインボイスを発行したい法人名義で適格請求書発行事業者の登録申請
設立直後に大きな設備投資がある課税事業者を選択して還付を受けるか
簡易課税を使いたい簡易課税制度選択届出書の期限を確認
資本金1,000万円以上で設立設立当初からの消費税納税義務を確認

個人事業主のインボイス登録番号が、新しい法人へそのまま引き継がれるわけではありません。
個人と法人は別の事業者です。

法人としてインボイスを発行するのであれば、法人名義で登録申請をします。

消費税には「期限を過ぎたので、あとから今年分に適用してください」ができない制度が多くあります。
大きな設備投資、簡易課税、インボイスなどが絡む場合は、会社を作る前に税理士へ相談することをおすすめします。

法人口座は早めに申し込む

法人口座は、登記完了後できるだけ早く申し込んでおきましょう。
銀行によっては審査に日数がかかります。

融資や銀行との付き合いを重視するなら、地元の地方銀行や信用金庫も候補になります。

一方、ネット銀行は振込手数料やネット上での操作性に優れています。

私であれば、地銀・信金+ネット銀行というように用途を分けることも検討します。
コンパクトな事業の場合、メガバンクよりも、上記の組み合わせがおすすめです。

法人クレジットカードをつくる

法人口座ができたら、法人名義のクレジットカードなども整えておきましょう。

会社を作ったタイミングで、お金の入口と出口を法人名義に統一するのがおすすめです。

さらに、法人口座やカードを会計ソフトと連携しておけば、その後の経理がかなりラクになります。

提出記録は必ず残す

税務署への届出はe-Tax、地方税はeLTAXなど、電子申請できるものが増えています。

電子申請の場合は、

  • 提出した書類
  • 受信通知

を保存しておきましょう。

なお、税務署では2025年1月から、紙で提出した申告書・届出書等の控えに収受日付印を押さなくなっています。
以前のように、提出用と控えの2部を郵送し、受付印付きの控えを返してもらう運用ではありません。

紙で提出する場合も、提出前のPDFやコピー、提出日などを自分で記録しておきましょう。
スマホで写真を残しておくのでもいいでしょう。

STEP3:個人事業の廃業手続き

法人側の手続きと並行して、個人事業をたたむ手続きも進めます。

税務署へ提出するもの

書類期限対象
個人事業の開業・廃業等届出書2026年以後は、その年分の所得税の確定申告期限まで個人事業を廃業した場合
所得税の青色申告の取りやめ届出書取りやめる年分の所得税の確定申告期限まで個人の青色申告をやめる場合
事業廃止届出書速やかに消費税の課税事業者等
給与支払事務所等の廃止届出書原則1か月以内個人事業で給与を支払っていた場合

2026年から個人の廃業届の期限が変わった

ここは要注意です。

以前は、個人事業の廃業届は原則として廃業から1か月以内でした。

2026年1月1日以後の廃業については、廃業した年分の所得税の確定申告期限までに変更されています。

古い記事を見ると「1か月以内」と書かれていることがあります。
ただし、だからといって確定申告まで放置する必要はありません。

法人成りしたら、他の手続きと一緒に早めに提出しておくのがおすすめです。

個人事業廃止届は10日以内

国税の廃業届とは別に、地方税側の手続きもあります。

千葉県の場合は、

書類提出先期限
個人の事業の開始等の報告書県税事務所事業廃止から10日以内

です。

国税の廃業届は確定申告期限まで、千葉県は10日以内。
期限が違うので注意してください。

個人名義から法人名義へ変更するもの

届出だけでなく、契約関係も法人へ切り替えます。

種類主なもの
不動産事務所・店舗・倉庫・駐車場など
車両・設備車、リース、機械・設備など
インフラ電話、電気、水道、ガス、インターネットなど
金融・保険保険、決済サービスなど
ITサービス各種サブスクリプション、ECサイトなど
取引先契約名義、振込口座、請求書、インボイス番号など

単純に名義変更できるものもあれば、一度個人契約を解約し、法人で新しく契約し直すものもあります。

借入金は自動的には法人へ移らない

法人成りしたからといって、個人の借入金が自動的に法人へ移るわけではありません。

借入を法人に引き継ぐのであれば、金融機関との調整が必要です。

そもそも、その借入を法人へ移すべきかどうかも検討する必要があります。

資産と負債の引き継ぎ方によって税務処理も変わるので、法人成りが決まった段階で銀行と税理士に相談しておくのがおすすめです。

STEP4:個人事業主として最後の確定申告

法人成りした翌年には、個人事業主として最後の確定申告を行います。

基本的には、その年の1月1日から個人事業を廃止した日までの事業所得を計算します。

法人化後に会社から役員報酬を受け取っていれば、その給与所得なども合わせて申告します。

法人成りした年の確定申告では、通常の確定申告とは違う論点が出てきます。

主な論点注意点
固定資産・商品など法人へどう引き継ぐか、譲渡価額をどうするか
売掛金・買掛金個人に残すのか、法人へ引き継ぐのか
役員報酬法人成り後の給与所得も個人の確定申告に含める
個人事業税一定の場合、見込額を必要経費に算入できる
借入金法人へ移す場合は金融機関・税務処理を確認
消費税個人最後の課税期間について申告が必要な場合がある

特に資産・負債の引き継ぎは、

確定申告をするときに考えるのでは遅い

ことがあります。

法人へ事業を移す時点で処理を決めておきましょう。

法人成りの手続き・期限チェックリスト

最後に、主な手続きをまとめます。

提出先手続き期限必要になるケース
税務署法人設立届出書2か月以内原則必要
税務署青色申告の承認申請書3か月経過日と事業年度末の早い方の前日青色申告をする場合
税務署給与支払事務所等の開設届出書1か月以内役員報酬・給与を払う場合
税務署源泉所得税の納期の特例任意給与支給人員が常時10人未満など
千葉県法人等の設立等報告書1か月以内千葉県内法人
柏市法人の設立・設置に関する申告書30日以内柏市内法人
年金事務所新規適用届原則5日以内法人事業所
年金事務所被保険者資格取得届原則5日以内加入対象者
労基署労働保険 保険関係成立届原則10日以内従業員を雇った場合
労基署等労働保険 概算保険料申告書原則50日以内従業員を雇った場合
ハローワーク雇用保険適用事業所設置届原則10日以内雇用保険対象者がいる場合
ハローワーク雇用保険被保険者資格取得届原則翌月10日まで雇用保険対象者
税務署個人事業の廃業届2026年以後は確定申告期限まで法人成りで個人事業を廃業
税務署青色申告の取りやめ届確定申告期限まで個人の青色申告をやめる場合
税務署消費税の事業廃止届速やかに対象者
税務署給与支払事務所等の廃止届原則1か月以内個人で給与を払っていた場合
千葉県個人の事業の開始等の報告書廃止から10日以内千葉県で個人事業を廃業

地方税の書類名や期限は自治体によって異なります。

上記の千葉県・柏市部分は、当地域で法人成りする場合の例です。

特に抜けやすい6つのポイント

ポイント注意点
個人事業の廃業税務署だけでなく都道府県側の手続きも確認する
インボイス個人の登録番号は法人へそのまま引き継げない
法人の青色申告単純に「3か月以内」ではない
資産・借入金確定申告時ではなく、事業を移す時点で処理を決める
社会保険原則5日以内と期限が短い
法人口座審査に時間がかかる場合があるので早めに申し込む

まとめ

法人成りの手続きは、大きく分けると次の4段階です。

STEP1会社を設立する
STEP2会社設立後の届出をする
STEP3個人事業の廃業手続きをする
STEP4個人事業主として最後の確定申告をする

会社を作ること自体は、会社設立サービスや司法書士さんを利用すれば比較的進めやすくなっています。

むしろ実務で重要なのは、

個人事業から法人へ、事業をきれいに移すこと

です。

特に、

  • 青色申告
  • 社会保険
  • 消費税・インボイス
  • 資産の引き継ぎ
  • 借入金の引き継ぎ

は、期限や処理を間違えると後から修正しにくいものがあります。

法人成りを検討している方は、会社を作ってからではなく、作る前に一度相談することをおすすめします。

当事務所でも、

  • 法人成りしたほうが有利かどうかのシミュレーション
  • 役員報酬の設定
  • 法人成りに伴う税務上の届出
  • 消費税・インボイスの検討
  • 個人から法人への資産・負債の引き継ぎ
  • 法人成りした年の確定申告

まで含めてご相談いただけます。

法人成りは、作った後より作る前の設計が重要です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次